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ひと夏の恋 13

2019.08.21 09:00|ひと夏の恋






俺が研修に行き出してから1週間経った頃
つくしが熱を出して仕事を休んだ。


今日は午後に一件アポがあったはず。

つくしのパソコンを立ち上げて
資料をプリントアウトする。


美波部長に報告すると、


「道明寺さんが行ってくれてもいいけど…流石に1人じゃマズイか。
伊藤君、午後からの牧野さんの案件お願い出来るかな。
今日は朝から伊藤君と仕事して下さい。

「わかりました。」

「伊藤さん、14時にAZマートです。
よろしくお願いします。」

「ああ。了解。」


チッ、何で俺が…なんて文句を言っている。


こいつはつくしが成績を上げてきた時に
色仕掛けしたとか言ったヤツ。
気にいらねぇが、こいつの実力を知るチャンスだ。


午前中は、伊藤さんの営業に同行した。

アポを取っている所を2件回ったが
どちらも契約が取れず。


そりゃそうだよな。


相手の希望と勧めている商品が合ってないんだからな。



一旦社に戻って、昼飯を食べてから
準備しておいたサンプルなどを持って
AZマートに伊藤さんと向かった。


AZマートに到着し、店長に会議室に案内された。


「今日は牧野が病欠で、代わりに担当させて頂きます山田と申します。
よろしくお願いいたします。」


眼鏡をかけて道明寺と名乗らなかった俺に伊藤さんは驚いた表情をしていた。


「そうか…残念だな。牧野さんにはいつも良くしてもらっててね。
毎回、希望以上の商品を提供してくれてるんだよ。」

「今回も、牧野の提案に沿って進めさせていただきます。」

「そりゃ楽しみだ。」


つくしの準備していた資料を元に話を進める。

店側の希望と、バイヤーのオススメ
商品管理から見る今の流行り
そして海外で既に流行っているものなど
バラエティーに富んだ商品展開になっている。


「今回も面白いね。これと、これは即決だな。
後はもう少し考えてもいいかな。」

「かしこまりました。」


注文書を作成し、店長のサインをもらった。


商談を終えたAZマートからの帰り道


「いつも牧野さんってあんな簡単に契約取ってるのか?」

「そうですね。
皆さん色々と悪口言ってますけど…
何度も足を運んで相手の希望を聞いたり、
商品部やバイヤーともよく話をしてますよ。
それにこれ…」


つくしの作成した資料を伊藤さんに見せた。


「こんな事までしてるのか…。」


どれだけつくしが努力をして契約を取っているか知った事だろう。
これでつくしへの悪口などが無くなればいいけどな。


仕事を終え、つくしの住んでいるマンションに向かった。

念のため言っておくが、勝手に調べたわけじゃねーぞ。
お節介な営業事務のおばさんが
つくしの見舞いに行けとご丁寧に住所を教えてくれたんだ。


少し古めのマンションの3階の角部屋。

オートロックじゃねーし、
こんな所に住んでて大丈夫かと心配にもなるが
古い割には共用部分は綺麗に掃除もされている。

部屋の前まで来てチャイムをを押すとしばらくして
「ハイ……えっ何で?」と声が聞こえた。

モニターを見て俺だと気づいたんだろう。

「ちょっと待って」と言ってインターホンが切れ、
少ししてガチャっと鍵を外す音がしてドアが開いた。


「なんでここが?」
「営業事務のおばさんが行けって。」
「ああ、山口さんね。ホントにお節介なんだから…。」


熱があるのか、いつもより覇気がない。


「ここじゃしんどいだろ。
すぐ帰るから、上がっていいか。」
「あ……うん。どうぞ。」


部屋の中に入ると、つくしの香りで満たされている。


「大丈夫…じゃないみたいだよな。熱は?」
「少しあるのかな。」


熱のせいか赤らんだ顔をしていて、
ベッドの中でのつくしを思い出した。

ってか、こんな時に何を考えてんだ俺は。
邪な気持ちに気づかれないように話題を変えた。


「メシは?」
「食べようかと思って起きたところ。」
「プリン食うか?それとも…何だこれ?」


袋の中からドラッグストアで店員に勧められるがままに購入したパウチされたパックを取り出した。

「それお粥だよ。それとプリン食べていい?」
「おお、いいぞ。」


キッチンで鍋に入れて温め、皿に入れて持ってきて食べ始めた。


「飯食える元気があるなら大丈夫か。
今日、AZマートの契約行ってきたぞ。
2商品は即決で、後は検討するってさ。」

「ごめん。ありがとう。
即決の2商品って?」

契約した商品を教えると
その2つは大本命だったから良かった…と呟いていた、


飯を食べ終え、薬を飲んだのを確認してから俺は帰る事にした。

「つくし、連絡先教えとけよ。
夜中でもなんかあったら連絡していいから。」
「あっ、うん。」

ベッドサイドからスマホを持ってきて
ロックを外して「ん」と俺に渡してきたので
電話帳に登録し、俺にワンコールかけて切った。


「じゃあ、帰るわ。鍵閉めてゆっくり寝ろよ。」
「態々ありがとう。」

つくしの部屋を出て、ちゃんとロックがかけられたのを確認してからドアから離れた。




いつも応援ありがとうございます!

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ひと夏の恋 12

2019.08.20 09:00|ひと夏の恋





「今日回る営業先の資料です。目を通しててもらえますか。」

「はい。」


受け取った資料は営業先の事が綺麗にまとめられてて
売りたい商品とセールスポイントや使用例などが事細かく書かれている。



へぇ、こいつ仕事できるんだ。




研修先に美波商事選んだのは偶然だった。


最近、輸入食品部門が伸びているからと研修先に決めた。

次のステップに進むために
系列会社に研修に行くことは道明寺HDでは珍しいことじゃない。

俺が御曹司だからといって、例外じゃなかっただけだ。


受付で担当者を呼び出してもらうと
程なくして迎えに来たのは
3日ほど前にセブ島で俺が溺れた女だった。


こんな偶然もあるのかと思ったが、
これはもう運命じゃねーの。


自己紹介をした俺の言葉をほとんど聞いていない様子のつくし。

まぁ、ゆっくりと俺のことを知っていけばいい。


エレベーターで営業部に上がり、再び自己紹介をしたところで
つくしは俺が道明寺司だと知ったようだ。


びっくりしすぎだろ。


落ち着きのない様子のつくしに


「なぁ、おまえは俺の名前に興味ねーの?」


と彼女にだけ聞こえるように言うと
俺を睨みつけ、ため息をつかれた。


「仕事する気がないなら担当から外れますが…。」


せっかくのチャンスを棒に振るわけにはいかない。
素直に謝って、ちゃんと仕事をしに来た旨を伝えた。


午後からつくしに付いて営業先に行った。

営業先はアジアンレストランで
つくしはメニュー展開のアイディアを交えながら
数点の商品をアピールしていった。

料理長には好印象で、すぐにでも契約が取れそうな雰囲気だったが、
レストランのオーナーが顔を出した。


「おや、司君じゃないか。」
「井上オーナーご無沙汰しています。」

「今日はどうしたんだい。」
「今、美波商事に研修に来てまして。」

「そうか。司君の応援も込めて全部お願いしようか。料理長いいよな。」
「はい。」

井上オーナーの一声で契約が決まった。


「ありがとうございます!」


つくしは笑顔で注文書を作成し、
料理長と数量や価格の相談をしている。


俺は、つくしの少しぎこちない笑顔を見て
何とも言えない気持ちになった。
レストランからの帰り道、つくしの顔は沈んだままだった。


社に戻って部長に契約の報告をした時
ボソッと「道明寺さんのおかげです」と呟いた。

つくしの沈んでいる原因は俺だった。
なんで気づかなかったんだよ。


自分の足で探した営業先に
あれだけ下調べをして商品の売り込みに行ったのに
美味しい所だけ俺が掻っ攫った形になったのだ。

俺が道明寺司じゃなければ
つくしの仕事の邪魔をする事はなかったのに…と
自分の浅はかさに気づいた。


どうしたらつくしの邪魔をしないか考えた結果
眼鏡をかけて営業に回ることにした。


翌日からは営業中は道明寺司と名乗らず
眼鏡を掛けてつくしと客先を回るようになった。


それでも、新規のお客さんが取れたり、
既存のお客さんも追加注文が取れたりして、
営業成績が上がったつくしを周りはよく思わないらしく


「どうせ道明寺司を使って契約してるんじゃないか」

とか

「色仕掛けしてるんじゃないか」


とか言われているのを聞いて無性に腹が立った。



つくしは、営業が終わってみんなが帰ってから資料を作ったり
サンプルの手配をしたり
商品管理部に顔を出して話をしたり
ホームページの商品説明を更新したり
商品を使ったレシピを提案したりと
地道な努力を積み重ねていったのが実を結んでいる結果だった。







いつも応援ありがとうございます!


ひと夏の恋 11

2019.08.19 09:00|ひと夏の恋





月曜日、お土産を持っていつもより早めに出勤する。

急ぎの案件は他の人がしてくれてるけど、
1週間休んだからきっと仕事が溜まってるはず。

パソコンを立ち上げメールチェックをしていると、
営業部のみんなが出勤してきた。


「休暇ありがとうございました。」

「セブ島だっけ?どうだった?」

「海も綺麗で、ご飯も美味しかったです!これお土産です。」


女性陣にはココナッツオイル
後は小分けできるクッキーとかドライマンゴーを配った。


美波部長に、研修生が下に来てるらしいから迎えに行ってと言われ、
階下の受け付けに行くと、そこには…


司???
えっ、どういうこと…。


「道明寺HDから研修に参りました道明寺司です。よろしくお願いします。」


頭の中はパニックで
司の言ってることはほとんど聞き取れず…


「えっと、研修中担当をさせていただきます牧野つくしです。」


自分の名前を名乗るのが精一杯だった。


「あの、私はどちらに行けば…」

「すみません、案内します。」


3階にある、営業部までエレベーターで一緒に上がり
美波部長は司を見るなり驚いた顔をして寄ってきた。


「あっ、部長。今日から研修の・・・あれっ?」

「道明寺司です。よろしくお願いします。」



ちょっと待って。
道明寺司って言ってる?


嘘でしょ??


部長も名前を聞いて焦ったように司に話しかけた。

「道明寺さんが起こしになると思わず失礼いたしました。
同世代だからと牧野さんを担当にしたのですが
担当を変えましょうか?」

「いや、彼女でいい。」

「そ、そうですか。
何か不都合があったら遠慮なくお申し出ください。」


部長だけでなく先輩方も舞い上がってるし、
ざわざわしてて落ち着かない。


「なぁ、おまえは俺の名前に興味ねーの?」


仕事中なのにそんな話をする司を睨みつけ、ため息をついた。


「仕事する気がないなら担当から外れますが…。」

「悪りぃ。そんなつもりはなかったんだ。
ちゃんと仕事をしに来たんだ。」

「だったらいいです。道明寺さんの席は私の隣です。」

にこりと笑って席を案内した。


「ああ、サンキュ。」

「えーっと、どうしたらいいですか?
研修中、何か希望とかありますか?」

「とりあえず、牧野さんの仕事に同行させてもらってもいいですか?」

「わかりました。」

司に聞きたいことが沢山あるけど
平静を装っていつものように仕事を始めた。





いつも応援ありがとうございます!

ひと夏の恋 10

2019.08.16 09:00|ひと夏の恋





司とシてしまった…。




経験が無かったわけじゃないけど、

エッチするのは、どちらかと言えば
あんまり好きじゃなかったんだけど……
海辺でキスをした時に
この人が欲しいと思ったのは
あたしにとって初めてのことだった。


ベッドでは情熱的に求められ、
何度も何度も高みまで昇りつめた。


夕方から始まった行為は、夜中まで続き…
最後はあたしは意識を飛ばしてしまったみたい。






起きたいんだけど、身体が重くて動けない。

そっと目を開けると目の前には司の顔があって
あたしの身体にガッチリと司の腕と足が巻き付けられていた。


気づかれないように起きたかったけど、
モゾモゾ動いていたら司が目を覚ましてしまった。


「おっ、おはよ。」
「……はよ。」

「部屋に戻って帰る準備しなきゃ。」
「まだ早いだろ。」


そう言いながら、あたしの体に手を這わせてくる。


「んっ……」
「もう一回シたい。いいよな。」


既にあたしの身体は司に甘く反応してて、
朝から甘く甘く溶かされてしまった。



シャワーを浴びて
遅めの朝食をホテルのレストランで食べていると
西門さんと優紀が帰って来た。


「つくし、ずっとごめんね。」
「いいよ。また後で話聞かせてね。」
「うん。」


朝食を食べ終え、司たちと別れて部屋に戻り帰り支度をする。


「あのね、つくし。総二郎さんと付き合うことになったの。」

「よかったね!今まで優紀がいっぱい努力したからだよ。」

「そうかな?」
「そうだよ。」


幸せそうな優紀を見て、あたしも幸せな気分になった。


「つくしは?」
「あたし?」

「司さんとはどうなの?」
「何にもないよ。」

「さっき一緒だったでしょ?」


「司は友達に置いていかれた可哀想なあたしの相手を仕方なくしてくれてただけだよ。」


態と優紀がこれ以上突っ込んで来れない言い方をした。


「ごめん、つくし。」
「だから謝らないでってば。」


支度を終えチェックアウトをするためにフロントに降りると
西門さんがいて空港まで送って行くと言ってくれている。

お邪魔しても悪いから
あたしはタクシーで行くって言ったけど
聞き入れてもらえなかった。


仕方なく車に乗り込み外を眺めていると


「つくしちゃん、司は仕事で来れなかったんだ。
よろしく伝えてって言ってたよ。」


西門さんが話をフってきた。


「そうですか。司にもよろしくって伝えてて下さい。」

「つくしちゃん、司となんかあったの?」
「えっ?別にありませんよ。」


「ふーん。」


「何でそんなこと聞くんですか?」
「司が女の子に構うなんて珍しいからさ。」

「偶々、お互いが暇だっただけですよ。」
「まぁ、いいけど…」


少し意味ありげな視線をあたしに向けてくるので
外に目を向け視線を逸らした。


「西門さん、優紀のことよろしくお願いします。
それから…西門さんモテそうだから泣かせないで下さいよね。」

「ああ、わかってる。」



空港で西門さんと別れ、優紀と二人で飛行機に乗って日本へと帰った。






**

5日間ほど留守にしたマンションの部屋はムッとしている。
エアコンをかけて、洗濯機を回し…


掃除機もかけて、買い物にも行かなくちゃ。


あーそう言えば月曜日から研修生が来るんだったっけ。



セブ島での日々は夢だったんじゃないかな…と思えるほど
家に帰って来て、一気に日常に戻ってしまった。



いつも応援ありがとうございます!

---------------------
お話を書く時間が無く、ストックも尽きてしまったので
2日間ほどお休みしますm(_ _)m


ひと夏の恋 9

2019.08.15 09:00|ひと夏の恋
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くるみぼたん

Author:くるみぼたん
花男の二次小説にハマり、思い浮かんだ妄想を書いてみることにしました。
文才もなく、のんびりペースですがよろしくお願いします。

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