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Bedtime story 〜Ariaさんからの頂き物



ブログ開設1周年のお祝いに、『IRIS *』のAriaさんよりお話をいただきました♡


**************





司 「おいつくし!何でダメなんだよ。」

つ 「ダメに決まってるでしょうが!子供達も幼稚舎を何日も休めないし
いつまでもアンタに付き合ってらんないの。」

出張前の恒例の様な言い争いが昨夜から続いていた。
司は今日からNYに2ヶ月の出張になる。
家族と離れたくないと言う司の我儘から、1週間以上の出張には必ず家族を同行させていたが
幼稚舎に入園してからつくしは子供たちが早く新しい環境に慣れる様にと
出張への同行よりも通園を優先したかった。


道明寺司は世界でも指折りの若き経営者として、国内でも海外でも名を馳せる男。
神が贔屓したとしか思えない様な端正な容姿に世界経済を動かすほどの地位と権力を持つ。
世界中の女性たちがその男に愛されたいと望むが、経営者として有名な男はそれ以上に妻を一途に愛する愛妻家としても有名だった。
常に妻を隣に置き、妻と挨拶をしようと近付くだけで睨まれる。
道明寺財閥と仕事がしたいと目論んだある経営者が、次期総帥の司に相手にされなかった事を恨み
妻のつくしと親密な関係になろうと近付いた時
それに気付いた司は、その経営者も会社も一瞬でこの世から消し去った事も有名な話だった。


司 「じゃあ俺が出張行かなくてもいいってのか?」

見送りに来ていた子供達の前でも苛立ちを隠さない司は大きな声でつくしをまくし立てるが
子供達もメイドも、勿論つくしも見慣れた光景に平然としている。

西田が司の迎えに来ていると言うのに、玄関ホールのカウチに座って動かなくなってしまった。

つ 「西田さん。いつもすみません。」

司 「おい!こいつは俺が行きたくないと行ってるのに無理やり家族と引き離そうとしてる男なんだぞ!
何でこんな奴に頭を下げるんだ!
さては西田を…!テメェ……ブッ…」

ドゴッ‼︎‼︎

座っていた司の脇腹にクリーンヒットしたつくしのフックに司が言葉を詰まらせ
殴られた衝撃に思わず腰を上げる。
そのまま追い出す様に背を押され、迎えの車に乗り込まされた。

車のドアが閉まっても
ギャンギャンと喚く声が微かに聞こえるが、西田にもう一度頭を下げたつくしに続く様に子供達が車に手を振ると
車が静かに走り出した。




・・・・・




彩葉 「どうしてパパとママはケンカするの?」

蒼 「どうしてなのタマしゃん。」

夫婦の子供の蒼(あおい)と彩葉(いろは)は今年4歳になる双子。
2人の愛を名一杯受けて育つ子供達は、よく笑いよく遊び何にでも好奇心旺盛だ。
蒼はママが大好きで甘えん坊な優しい男の子。彩葉は活発で自立心の強い女の子でいつも蒼の事を引っ張って歩く。

タマ 「お2人はケンカしている訳ではないんですよ。
あぁやって、遊んでいる様なもんなんです。」

蒼 「ママはパパと あしょんでるの?
ぼくもママとあしょぶ!」

彩葉 「あおちゃん。ママはびょういんにいくのよ!
私たちは幼稚舎でしょ!」

蒼 「ぼくだってあしょびたいのに…
いろちゃんは幼稚舎にいけばいいよ。
ぼくはママとびょういんにいく!」

タマ 「今夜はお祖母様がお帰りになるから、お祖母様と遊ばれるんでしょう?
坊っちゃまはお祖母様と遊ばれないんですかい?」

プゥと頰を膨らませていた蒼はタマの言葉に目を輝かせた。
2人にとってお祖母様の楓は大好きな人の1人。
外国のお話や面白い事を教えてくれるから偶に会える事をいつも楽しみにしていた。

彩葉 「そうよあおちゃん!おばぁちゃまにあえるのよ!
はやく幼稚舎にいきましょ。」

彩葉の言葉に満面の笑みで頷くと、2人はつくしに「いってきましゅ!」と大きな声で挨拶して出かけて行った。

つ 「タマさん。2人とどんな話をしていたんですか?」

つくしにべったりの蒼は幼稚舎に行くのを嫌がり、毎朝少し不服そうに出かけるが
今朝は機嫌よく出かけて行った。
3人目の妊娠が分かってからつくしを気遣う様になった双子の成長を嬉しさ半分
寂しさ半分で見つめるつくしの肩にタマがそっと手を添える。

タマ 「つくしも早く準備しないと、病院で先生がお待ちだろ?」

「そうでした!」と踵を返して出かけるつくしの姿を眺めていたタマの隣にスッと現れた女性を見上げ
た。

タマ 「大奥様。お久しぶりでございます。」

楓 「あの2人は相変わらずなのね。」

タマ 「そりゃもう。毎日幸せそうでございますよ。」




・・・・・




幼稚舎から帰宅した双子は、通院で帰宅時間が遅れるつくしの代わりに迎えに来てくれた祖母の楓にべったりと張り付いている。

つ 「お帰りなさい。お義母様お迎えありがとうございます。
お疲れでしょうし、少し休まれますか?」

4歳になり、言い付けを聞き分けることが出来る様になった2人だが
それ以上に自由に動き回る子供たちの相手をするのは重労働だ。
つくしは慣れない子守に楓が疲れていないかと心配したが
楓は2人の傍を離れない。

楓 「私を年寄り扱いする前に、ご自分の身体を大事になさい。」

ピシャリと言い放つ態度は昔のトラウマを思い出す程だが、その言葉は家族である自分を心配しての事だと知っているつくしは
既に双子と別の部屋へ遊びに行こうとしている後ろ姿に微笑んだ。




彩葉 「おばあちゃま。いろはね しんぱいなの…」

蒼 「いろちゃん?どうしたの?」

彩葉 「きょう 幼稚舎で けいちゃんにきいたの。
パパとママはいっぱいケンカしたら ずっとあえなくなるんだって。
りこん っていうんだって。
バイバイってしたまま あえなくなっちゃうの?」

蒼 「バイバイのまま あえない…?
そんなのやだっ!あおちゃん やだっ!」

楓 「大丈夫よ。パパとママはバイバイしないわ。」

「「ほんとう?」」

2人は目を潤ませ、その小さくてもキラキラと輝く瞳からは涙がこぼれ落ちそうだ。
楓はそっと2人の頭を撫でながら話をする。

楓 「おばあちゃまが嘘をついた事があって?」

悪戯っ子の様な視線を2人に向けると、普段見ない楓の揶揄う様な仕草に
未だ目を潤ませたままフルフルと首を横に振った。

楓 「じゃあ2人に、とっても素敵なお話を聞かせてあげるわ。」

こぼれ落ちそうだった涙を親指で拭いてやり、自分のベッドに2人を寝かせると
楓は目を閉じたまま小さな2つの掌を握った。

楓 「むかしむかし、あるところに、
不器用な男の子と、少し気の強い女の子がいました。

違う世界に住んでいたふたりは、ある日偶然出会い、
恋に落ちました。
男の子が女の子に大好きだと一生懸命伝えたけど
女の子は中々受け入れませんでした。」

彩葉 「受け入れるってなぁに?」

楓 「女の子は男の子を好きって思っていたけれど
世界が違うから、仲良くできないって思ったみたいなの。

大好きな人に大好きと伝える事を躊躇っていたけど
優しい男の子の暖かい愛に包まれて
意地っ張りな女の子は男の子の気持ちを受け入れるべきか迷う様になりました。

女の子はいつも他の人の事を優先していたから
自分の気持ちに気がつくのが遅かったのです。

女の子のお友達が男の子の事を好きだと聞けば、お友達の恋を応援して
男の子を傷付けてしまう事もありました。
そんな時、女の子はみんなに内緒で「ごめんね」とお手紙で謝ります。

星が降り注ぐ綺麗な夜空に包まれた夜
男の子は女の子の手を取って言いました。
“愛してる。誰よりも、君が思うよりも。
いつだって、君のことで心はいっぱいなんだよ。
頼りないかもしれない、でも必ず守るから。
ああ、どうか僕のそばに、
ずっと僕のそばにいてほしい。”

女の子は初めて自分の気持ちを1番大切にして、男の子の気持ちを受け入れました。」

蒼 「受け入れたんだ!よかったね いろちゃん。」

楓 「そうね。でも2人は相変わらずだったわ。
元々世界が違うから、一緒に居るのは大変な事も多かったの。
女の子は家族のために一生懸命働く事を大切にしていたのです。

男の子はそんな女の子に振り回されて、女の子は男の子の優しさに感謝していました。
好きな気持ちを隠さずに一緒に居られる時間が短くても、2人の笑顔はキラキラしていました。
2人はとっても幸せだったのよ。

2人が一緒に居る事を反対した人も居たの。
そんな時2人は手を取り合って助け合い、大きな奇跡を何度も起こして
いつしかみんなが2人を応援する様になっていったのです。


そしてある星の綺麗な夜に女の子は男の子の手を取って言いました。

“愛してる。私も。君に負けないくらい。
いつだって、君のことで心がいっぱいなんだよ。
今までも、これからも、頼りにしてるから。
ねぇ、だから君のそばに、
ずっと君のそばにいさせて。”

それから2人は結婚して
世界中の誰よりも幸せにします
と誓いました。」

楓が握っていた小さな2つの手からは、暖かな温もりだけが伝わってくるが
その手に力はない。

いつの間にかに眠りの世界に遊びに行ってしまったのね。

楓 「あの時私がもっと早くパパとママを応援していたら
もっと早くあなたたちに会う事が出来たのかしら。」

つ 「そんな事ありません。
お義母様のお陰で、私たちは互いを支え合い信じあえる絆を繋ぐ事が出来たんです。」

ベッドサイドに座る楓の肩を支える様に手を伸ばし
つくしはあの頃より少し痩せた楓に触れた。




・・・・・




司 「ババァがそんな話してたのか。」

つ 「またそんな呼び方…
うん…お義母様のお話が素敵でね、司に会いたくなっちゃった。」

楓を呼ぶ呼び方は変わらないが、親になり会社を代表する立場に立つ様になった司の気持ちは
今までとは全く違う。
仕方なく1人で出張に出た夜。
あの日の様に美しい星空を眺めながら電話をしていた。

司 「久しぶりの遠距離恋愛だな。」

つ 「フフッ。もう恋愛じゃないでしょ。
だって…」

恋愛中の恋人同士とは違う絆を育み、2人の間には確かな愛があるのよ。

つくしは心の中で思った言葉を伝えようとしたがその前に司が言葉を挟んだ。

司 「なぁつくし…
愛してる。誰よりも、君が思うよりも。
いつだって、君のことで心はいっぱいなんだよ。
頼りないかもしれない、でも必ず守るから。
ああ、どうか僕のそばに、
ずっと僕のそばにいてほしい。」


つ 「私も愛してる。」









*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*
1周年おめでとうございます.゚+.(・∀・)゚+.
いつも可愛いつくしちゃんと、優しい坊ちゃんを書かれるくるみぼたんさんのお話が大好きです!
こんな私とお付き合い頂きありがとうございます!
そして、これからもよろしくお願いします♡



**************
西野カナの『Bedtime story』
可愛い歌で2人っぽい…なと思って、リクエストさせていただきました。
無茶振りにもかかわらず、素敵なお話になってて♡
お話を頂いてから毎日、1人でニヤニヤしながら読んでました。
ぜひ『Bedtime story 』聴きながら読んで下さいね!

Ariaさん、素敵なお話ありがとうございました♡





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コメント

コメント(2)
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2019/01/20 18:37 編集返信
くるみぼたん
スリ○○○○○○様
私もたまたま歌番組で聞いて、始まりの

♪むかしむかしあるところに
不器用な男の子と
少し気の強い女の子が
いました

この部分を聞いてつかつくみたい…と思い
最後まで聞いたら、ほんとにぴったりな曲で(≧∇≦)

Ariaさんが、かなりステキなお話に仕上げてくれました。
楓さんを含め、家族みんなの優しさが溢れてて
みんな幸せなんだろうな…って思えますよね。

くるみぼたん

2019/01/20 20:56 URL 編集返信
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プロフィール

くるみぼたん

Author:くるみぼたん
花男の二次小説にハマり、思い浮かんだ妄想を書いてみることにしました。
ホンワカと温まるハッピーエンドのお話をお届けできれば…と思ってます^ ^

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