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七夕の願いは…






「ねぇ、ママ。パパのことすき?」
「大好きだよ。」







**
「タマさんの所に寄って帰るね。じゃあね。」


いつもと変わらない様子で帰っていった牧野。
彼女の出ていった部屋のドアがバタンと閉まって、
さっきの言葉は現実なんだと実感した。


残された俺の前には1冊の週刊誌。

パラパラとめくるとあるページにコップを置いていたようなシミが付いていた。
そのページには、俺の政略結婚のスクープ記事。


「あたしは大丈夫だから道明寺は自分のすべきことを頑張って。」


そう言っていた彼女。



約束の4年のNYを経て、日本に戻って来た俺は順調に彼女と愛を育んでいた。


親父が倒れるまでは…。


公の場で親父が倒れたニュースは瞬く間に世界中に流れた。
株価は暴落し、会社を立て直そうと奔走する毎日。


あちこちの会社から俺との打診をされる日々。
俺には牧野しかいないから断り続けているが
どうにかして道明寺を取り込もうとするY社がリークした俺との政略結婚の記事。

事実じゃないのも彼女は知っているはずなのに…。





お前がとなりにいた当たり前がずっと続くと思っていたのに、脆くもそれが壊れてしまった。


彼女がいなくても、仕事の時はポーカーフェイスを貼り付けて変わりない俺で居られるが、プライベートではどこかに心を置き忘れてきたかのようで、心の中で泣いてる。


何を見ても、何をしても心が動かない。
彼女と2人喜びも楽しさもそして怒りや悲しみも分け合ってきたとこに今頃気づいた。


俺の意思とは無関係に政略結婚の話が進んでいく。

俺の前でニコニコしている作り物で固められた女。
一緒にいても、他人に俺という存在を見せびらかすかのようにベタベタとくっついてきやがる。
触れられるたびに吐きそうになり、心も体も閉ざされていく。


ある日ババァに、1年後の結婚式までに会社を立て直したら結婚はしないと宣言した。

ババァはため息をつきながらも了承してくれた。


そこからは俺はNYに渡り死にものぐるいで仕事をした。
頑張ったからって、あいつが待っていてくれるなんて保証はない。
だが、俺が今できる精一杯のことをして足掻いてみることにした。







**





「ねぇ、ママ。たなばたさまにおねがいしたらパパにあえるかな?」
「どうだろうね。」








**

結婚式が後1ヶ月まで迫っていた時、
俺がNYで手掛けてていた事業が軌道に乗り始めた。

それと同じタイミングで掴んだ、
結婚相手の親のY社が裏の組織とガッツリと繋がっているという証拠。
あきらや総二郎、類までもが手を貸してくれて1年近くかかって掴むことが出来た。


ババァに事業の成功とY社の裏の組織との繋がりを突きつけた。


「これで文句ないだろ。今回の婚約は破談にするから。」
「よくやったわね。ありがとう、司。」
「・・・」


突然ババァからありがとうなんて言われて返す言葉がなかった。


「Y社の件は私の方で処理します。そして婚約は私の方から破棄しておきます。」
「ああ。」
「それから、これはあなたに。」


机の引き出しから、封筒を取り出して俺に渡した。


「なんだ?」

「今のあなたに1番必要なものかしら。
自分の執務室で開けなさい。
来週から、あなたは副社長として日本に戻りなさい。」

「わかりました。」







**


「あっ、パパだぁ〜。おかえり。」
「ただいま、七香(ななか)。いい子にしてたか?」
「うんっ。たなばたさまのおねがいかんがえてたの。」


手を飛ばしてくる七香を抱き抱え、愛する人の元へ歩いていく。


「あれっ、おかえり。早かったんだね。」
「今日は7月7日、七香の誕生日だろ。つくし、身体は平気か?」
「ちょっとだるいけど大丈夫。」
「無理すんなよ。」
「うん。ありがと。」






**

ババァから受け取った封筒を開けると、
そこには生まれたばかりの子供を抱いている、
俺の会いたくて堪らなかった女。


2ヶ月ちょっと前の七夕に生まれたらしい子供の名前は『七香(ななか)』


どんな思いで名前をつけたんだろうか。

まだ俺を想ってくれてるのか不安に思いつつも、
俺によく似たクルクルの髪の女の子を産んだ彼女にすぐに会いに行くことにした。





アパートのチャイムを鳴らして、
出てきたのは長かった髪をボブにカットした愛しい人。


「なんで…。」


目にいっぱい涙を溜めて俺を見つめている。


「迎えに来た。まだ間に合うか?」
「道明寺〜。」


ドスンと俺に抱きついてきた。

俺の好きな彼女の香りにプラスされているミルクのような香り。


「牧野、七香は?」
「知ってたの?」
「昨日初めて知って、飛んできた。」
「今お昼寝してる。会ってやって。」


ベビーベッドで幸せそうに眠っている七香。
写真より大きくなっている。


「なぁ、牧野。お前と七香で俺を幸せにしてくれないか。」
「いいの?」
「ああ。」
「あたしが道明寺のこと幸せにしてあげる。」


俺の大事なものを取り戻すことが出来た。








**

「パパ、いっしょにおねがいかこう。」
「いいぞ。なんて書くんだ?」
「“パパがずっとおうちにいますように”ってかくんだ。」
「パパがずっと家にいたら、ご飯食べられなくなるぞ。」
「それはヤダ〜!」

「ふふふっ、七香はパパが出張に行って寂しかったんだよね。」


寝ていたつくしが起きてきた。

「あっ!!!」
「どうした?」
「おねがいは“はやくあかちゃんにあえますように”にするっ。」


「かけたらケーキでお祝いするか。」
「はーい!」





END





いつも応援ありがとうございます!

--------------
ちょっと悲しい感じの始まりでしたが、七夕のお話を。
実はこのお話、平井堅さんの『Half of me』のイメージで書こうとしていたお話のですが、
歌のままでは離れ離れだったので、ちょっと歌からは離れてお話を書き上げました。

初めてこの歌を聴いた時に、つかつくにピッタリ当てはまってしまったんです。。
『even if』のその後の2人なんですよね…。




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コメント

コメント(4)
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2019/07/07 12:33 編集返信
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2019/07/07 15:08 編集返信
くるみぼたん
Fu○○○様
コメントありがとうございます。
七夕のお話気に入ってもらえて嬉しいです。

『even if』のお話はないんです。

少し言葉足らずでしたが、平井堅さんの歌『Half of me』が
同じく平井堅さんの歌の『even if』で歌われている2人の10年後の歌なんです。
初めて聴いた時は、その事を知らずに…つかつくのイメージでお話が浮かびました。

『even if 』を聴いてから『Half of me』を聴くとちょっとイメージが変わるんですよね(^-^;
それをお伝えしたかったのですが…上手く伝えれてなくて、ごめんなさいm(_ _)m

くるみぼたん

2019/07/08 07:55 URL 編集返信
くるみぼたん
スリ○○○○○○様
七夕って、私の中では中々晴れないイメージがあります。
うちの方も日中は、薄曇りでしたが夜は雨でした。

満天の星空の中の天の川…きっと感動ものなんでしょうね(*≧∀≦*)
以前、冬だったんですが、スキーに行った時に夜に停電にあい
寒かったけど見たことの無いぐらいの数の星を見て感動したのを思い出しました^ ^

お話ですが…
始めに悲しく苦しい部分を書いてて、やっぱり幸せにしてあげなきゃと
書き足していったのですが、上手く書けてたかな…。

つくしちゃんは、お腹に赤ちゃんがいるのを知ったと同じようなタイミングで
週刊誌のスクープが出て、悩んだんですよね。
司くんのお父さんが、人前で倒れたことによって
周りから一気に畳み掛けられようとされてました。
周りの会社などは、そんなチャンスを狙ってたのかな…と。

離れてしまったけど、つくしちゃんがいなければ自分らしくいられないと気づいた司くんは
必死に頑張りました。
その頑張りを見て、F3も裏方で応援してくれてたんですよね。

短編のお話を書くのは難しいんです(>_<)
色んな頭の中に思い浮かんでいるイメージを全部書ききれないので。。

平井堅さんの歌『Half of me』は
たまたまテレビを見てた時に聞いたんですよね。

確かに以前より歌番組が減った分、色んな歌を耳にする機会って減りましたね〜。

くるみぼたん

2019/07/08 08:22 URL 編集返信
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プロフィール

くるみぼたん

Author:くるみぼたん
花男の二次小説にハマり、思い浮かんだ妄想を書いてみることにしました。
ホンワカと温まるハッピーエンドのお話をお届けできれば…と思ってます^ ^

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