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ひと夏の恋 12






「今日回る営業先の資料です。目を通しててもらえますか。」

「はい。」


受け取った資料は営業先の事が綺麗にまとめられてて
売りたい商品とセールスポイントや使用例などが事細かく書かれている。



へぇ、こいつ仕事できるんだ。




研修先に美波商事選んだのは偶然だった。


最近、輸入食品部門が伸びているからと研修先に決めた。

次のステップに進むために
系列会社に研修に行くことは道明寺HDでは珍しいことじゃない。

俺が御曹司だからといって、例外じゃなかっただけだ。


受付で担当者を呼び出してもらうと
程なくして迎えに来たのは
3日ほど前にセブ島で俺が溺れた女だった。


こんな偶然もあるのかと思ったが、
これはもう運命じゃねーの。


自己紹介をした俺の言葉をほとんど聞いていない様子のつくし。

まぁ、ゆっくりと俺のことを知っていけばいい。


エレベーターで営業部に上がり、再び自己紹介をしたところで
つくしは俺が道明寺司だと知ったようだ。


びっくりしすぎだろ。


落ち着きのない様子のつくしに


「なぁ、おまえは俺の名前に興味ねーの?」


と彼女にだけ聞こえるように言うと
俺を睨みつけ、ため息をつかれた。


「仕事する気がないなら担当から外れますが…。」


せっかくのチャンスを棒に振るわけにはいかない。
素直に謝って、ちゃんと仕事をしに来た旨を伝えた。


午後からつくしに付いて営業先に行った。

営業先はアジアンレストランで
つくしはメニュー展開のアイディアを交えながら
数点の商品をアピールしていった。

料理長には好印象で、すぐにでも契約が取れそうな雰囲気だったが、
レストランのオーナーが顔を出した。


「おや、司君じゃないか。」
「井上オーナーご無沙汰しています。」

「今日はどうしたんだい。」
「今、美波商事に研修に来てまして。」

「そうか。司君の応援も込めて全部お願いしようか。料理長いいよな。」
「はい。」

井上オーナーの一声で契約が決まった。


「ありがとうございます!」


つくしは笑顔で注文書を作成し、
料理長と数量や価格の相談をしている。


俺は、つくしの少しぎこちない笑顔を見て
何とも言えない気持ちになった。
レストランからの帰り道、つくしの顔は沈んだままだった。


社に戻って部長に契約の報告をした時
ボソッと「道明寺さんのおかげです」と呟いた。

つくしの沈んでいる原因は俺だった。
なんで気づかなかったんだよ。


自分の足で探した営業先に
あれだけ下調べをして商品の売り込みに行ったのに
美味しい所だけ俺が掻っ攫った形になったのだ。

俺が道明寺司じゃなければ
つくしの仕事の邪魔をする事はなかったのに…と
自分の浅はかさに気づいた。


どうしたらつくしの邪魔をしないか考えた結果
眼鏡をかけて営業に回ることにした。


翌日からは営業中は道明寺司と名乗らず
眼鏡を掛けてつくしと客先を回るようになった。


それでも、新規のお客さんが取れたり、
既存のお客さんも追加注文が取れたりして、
営業成績が上がったつくしを周りはよく思わないらしく


「どうせ道明寺司を使って契約してるんじゃないか」

とか

「色仕掛けしてるんじゃないか」


とか言われているのを聞いて無性に腹が立った。



つくしは、営業が終わってみんなが帰ってから資料を作ったり
サンプルの手配をしたり
商品管理部に顔を出して話をしたり
ホームページの商品説明を更新したり
商品を使ったレシピを提案したりと
地道な努力を積み重ねていったのが実を結んでいる結果だった。







いつも応援ありがとうございます!


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コメント

コメント(2)
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2019/08/21 07:54 編集返信
くるみぼたん
スリ〇〇〇〇〇〇様
あっという間の再会です(笑)

つくしちゃんは、色んな感情や気持ちにフタをしてるんです。
しかも、司くんの名前を知ってしまったら尚更です。

司くんは、もちろん喜んでいますよ(≧∀≦)
でも、仕事ですからね…。
つくしちゃんに嫌われないように、頑張ってくれると思います。

くるみぼたん

2019/08/22 07:40 URL 編集返信
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Author:くるみぼたん
花男の二次小説にハマり、思い浮かんだ妄想を書いてみることにしました。
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