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Remember me 8






ようやく明日は退院。

不自由な生活から解放されるって思ってたら


「(明日には退院ですけど、まだ無理は禁物ですよ。)」


とドクターに念を押されてしまった。


幸いなことに体には障害も残らず、
少しずつ日常生活も出来るようになってきた。

退院後は、前のまま道明寺邸でお世話になるから
無理をする事はほとんど無いんだけどね。




いつものように、仕事終わりにお見舞いに来てくれた専務。
なんだか今日はいつもと様子が違う…。


「なぁ、牧野。」
「はい?」
「俺はお前の事が好きだ!」


真剣な顔をしてあたしの目を見ている。
その顔を見ていたら、泣くつもりなんて無かったのにポロポロと涙が溢れてきた。
道明寺は少し慌てたようにあたしの涙を指でそっと拭ってくれている。


「お前に、忘れられない男がいるのは知っている。
だけど、少しでいいから俺の方を見てくれないか?」
「・・・なんで知ってるんですか?」
「類から聞いた。」


その忘れられない人はあんたなんだよ…って言いたいけどそれは言えない。


あたしの気持ちは…
真剣にあたしと向き合おうとしてくれている道明寺にあたしもちゃんと向き合おうと思った。


「あたしも専務の事好きです。
けど……まだ1番じゃないですよ。
それでもいいんですか?」

「そのうち一番になってやるよ。」

「・・・・・」


自信満々に答える姿が記憶を失う前の道明寺と重なって言葉が出なかった。


「俺もな、以前刺されたことがあって、記憶の一部がねーんだよ。
それが何だかわからないけど、大事なもんだってことはわかるんだ。
それでも、今側にいる牧野と一緒にいたい。ダメか?」

「ダメじゃないです。よろしくお願いします。」


そっと抱きしめられた。

懐かしい道明寺の腕の中と香り。
記憶が無くなって変わってしまったと思ってだけど、
この温もりは以前と変わらない。







*******

牧野に告白して付き合うようになってから2ヶ月。

牧野との距離が近くなったはずなのに
どうしても心の距離が近づかない。

中学生か…と思えるほどのプラトニックな関係でまだキスすらしていない。



ふとした時に牧野がなんとも言えない表情をしながら
ネックレスを握りしめているのをよく見かける。



そのネックレスは忘れられない男からもらったのか?
そんなにそいつの事が好きなのか…。


俺以外の男からもらったものをめちゃくちゃにしてやりたい気持ちと
牧野の大事にしているものだから大事にしてやりたい気持ちが
俺の中で交錯している。





仕事帰りに寄ったメープルのバー。

少しカクテルを飲んでほんのり酔っている牧野は可愛い。



どこにいるかもわからないヤツの事を思っていないで
いい加減側にいる俺の方を見てくれよ。



「なぁ…キスしていいか?」


あの虐めてやろうとしたキス以来、牧野には手も出せていない。


「……あっ、はい。」


そっと触れるだけのキスをした。

前の時には気がつかなかったが
この唇の感触を知っていると俺の本能が訴えてくる。
キスを深めながら、牧野のネックレスに触れると激しい頭痛に襲われた。


痛みを堪えていると、一気に色々な情景が頭の中を駆け巡った。


階段から落ちてきた女、無印良品の女、3on3
イカ釣り、カナダの雪山
雨の日の別れ…


そして嵐の中の船……


あんた、俺がおまえを幸せにしてやるって言わなかったっけ?
それをなによ⁈他の男に任せるっていうの
タコッ
人にやってもらわなきゃ幸せになれないなんて思わないでよっ
なめてんの⁈
あんたが好きって言ってるじゃないっ
このぼけなすッ





ああ、俺は今まで何をしてたんだ…。



「専務?大丈夫???」


心配そうに俺を見つめている牧野。
おまえを忘れてしまった俺の側に居てくれた牧野に
愛しさが込み上げてきた。


「牧野、これって誰にもらったんだ?」


ネックレスを触りながら聞いてみる。


「……あたしの忘れられない人。」
「そいつの事まだ好きなのか?」
「………好き。」

「そいつが、お前のことを好きだって言ったらどうする?」
「……そんなの絶対にないもん。今は専務の事が好きだし大事だよ。」


記憶のない俺のことを好きと言ってくれる牧野をぎゅっと抱きしめる。


「牧野、ごめん。俺は記憶の中の大事なもの…忘れられそうにもねぇわ。」
「それって……。」


俺の腕の中で、瞳をウルウルさせて見上げながら俺の真意を探っている。


「記憶があっても無くても、
俺の一番大事なものは牧野……おまえだろ!」


「道明寺っ!!!」


ぎゅっと俺に抱きついてきた。


「ただいま。牧野の事、忘れてて悪かった。」
「おかえり、道明寺!思い出してくれてありがとう」


ポロポロと涙を流しながら、俺を見ている愛しい女。



こんな大事なものを忘れていた俺は
よく3年も生きてこれたよな。





いつも応援ありがとうございます!


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コメント

コメント(4)
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2019/09/14 10:37 編集返信
phronesis
ああなんてこと!
文体がハイセンス!
明白!簡潔!清純!
かなりの腕前!
これは有望株カナ?
その調子!その調子!

See you !

O(≧▽≦)O

2019/09/14 14:54 URL 編集返信
くるみぼたん
スリ〇〇〇〇〇〇様

ようやく記憶が戻りました╰(*´︶`*)╯♡

両想いになったはずなのに、
なかなか超えていけない壁があったんですよね(>_<)
でも、それが司くんの記憶を呼び戻すきっかけに
なりましたね〜。

これからどんな二人の生活が待っているのでしょうか^ ^

くるみぼたん

2019/09/15 07:32 URL 編集返信
くるみぼたん
O(≧▽≦)O様
素人同然のお話に
もったいないほどのお褒めの言葉を頂き
ありがとうございます(≧∀≦)

くるみぼたん

2019/09/15 07:37 URL 編集返信
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プロフィール

くるみぼたん

Author:くるみぼたん
花男の二次小説にハマり、思い浮かんだ妄想を書いてみることにしました。
ホンワカと温まるハッピーエンドのお話をお届けできれば…と思ってます^ ^

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