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brush up! 2






「で、おねだりできたんですか?」
「え?」

「とぼけないで下さい。先週話してたじゃないですか…お洋服ですよ。」

「……出来なかったんだけど、服を買いに行く話をしたら付き合ってくれるって。」

「良かったですね。まぁ、一緒に行けば買ってもらえるでしょうし、センスのいい道明寺さんに選んでもらって下さいね。」

「…うん。」


あ、そうだ…と桜子はサブバックから中に雑誌のようなものが入った大きな封筒をあたしに渡した。


「何これ?」
「ここでは出さない方がいいですよ。」


中身を取り出そうとしていたあたしを止めた。


「なんで?」
「下着のカタログです。」
「なっ!!!」


あたし達が話をしているのは大学のカフェテリアの片隅。
桜子に小声で言われて、慌てて中身を取り出すのをやめた。


「その中から少なくても5点選んでおいて下さいね。」
「そんなにもっ!!」

「これでも少ないぐらいです。先輩、本当に綺麗になりたいのなら頑張って下さい。」
「……わかった。」


桜子に相談したのは間違いだった…?
綺麗になりたいって言ったけど下着って……。

でも、こんな話出来る友達って近くにいないし、学生だけどエステ店を経営したりしてるから適任だよ……ね?


「まだまだ序の口ですからね。先輩、お買い物行くのっていつですか?」
「今日。」

「じゃあ、帰る前にメイクして差し上げます。」
「そんなのいいよ。」

「少しずつ変わって行って、道明寺さんを釘付けにしておくんです。周りには綺麗な年上女性がいっぱいなんですからねっ!!」

「…………わかってる。」


そりゃ、あたしだって綺麗になりたいって思ってるけど…変わるのって勇気いるでしょ?



講義が終わって桜子にお化粧をしてもらい、正門の前で道明寺を待っていると、同じ学部の伊藤くんから声をかけられた。


「牧野さん、こんなところでどうしたの?」
「ちょっと人を待ってて…」

「あっ、デートだ!いつもしてない化粧をして、牧野さんも女の子だね。」
「そんなっ!!」


あたしの顔は真っ赤だったに違いない。


「俺も彼女とデートなんだ。お互い楽しもうな。」


ヒラヒラと手を振って駅の方に歩いて行ったのと入れ替わりに道明寺がリムジンを降りて歩いてきた。


「待ったか?」
「あたしもさっき来たところだよ。」

「鞄貸せよ。」
「いいよ。そんなに重くないから…」


中を開けることは無いだろうけど、下着のカタログが入った鞄を道明寺に持たせるわけにいかない。
奪われないようにぎゅっと鞄を胸に抱き抱えた。


「さっきのヤツと何話してたんだ?」
「伊藤くん?」


さっきの会話を思い出して、またもや真っ赤になったあたし。


「なっ何でもないよ。講義の話をしてただけだから。」
「ほんとか?」

「うん。あのねっ、道明寺にお願いがあるんだけどさ。」
「どうした?」

「あたし、服とかよくわからないからさぁ、道明寺センスいいからあたしの服選んでくれる?」
「おうっ、いいぞ。」


伊藤くんの話を必死に誤魔化してたあたしを不審そうに見てた道明寺が一気に嬉しそうな顔になった。


「どこか行きたいところあるのか?」
「んー、わかんない。道明寺に任せてもいい?」
「了解!」


リムジンに乗り、運転手さんに行き先を告げた道明寺があたしの方を見て頬をスッと撫でた。


「なぁ、今日はどうしたんだ?」
「ひゃぁ!なっ、何が?」

「何そんなに慌ててるんだよ。今日、化粧してるだろ。」

「あたしにだってこれぐらい出来るしっ!道明寺と買い物に行くからってお化粧した訳じゃないから…。偶々よ、たまたま!」

「そうか…似合ってんぞ。」


そう言うなり、車の中なのに普段より濃厚なキスをされた。


「んっ…もうっ!口紅ついちゃったでしょ。」
「可愛すぎるから…つい……な。」


あたしが差し出したティッシュで道明寺は唇を拭き取った。
ティッシュには、真っ赤なルージュが付いていて…こんな色あたしに似合うわけないのに桜子は何を考えてるんだろうって思った。

あたしも、さっと口紅を拭き取って自分の持っているベージュピンクの口紅を塗ろうとしたのに、道明寺に何度もキスをされ塗り直す事が出来なかった。



到着したのは、百貨店。


「道明寺、あたしが着るんだから、シャ○ルとかグッ○とか高いブランド物はダメだからね。」
「わかってるって。」


まず連れて来てくれたのは、『Italy』って書いてあるけど、イタリアの聞いたことない名前のお店。
ちらっと見た値段も手頃だし…
そこでは、ニットやデニムスカート、カットソーなどあたしの普段に着れそうな服を買ってくれた。

次は、フランスの…ここも聞いたこと無いお店。
店員さんに指示を出して色々服を選んでくれている道明寺。

あっ、これ…この前雑誌で見た服に似てる。
ちょっと大人ガーリーなワンピースで自分に当てて鏡を見てみたけど…似合わないな。


「それ欲しいのか?」
「いい。あたしには似合わないし。」


こんな服が似合う女性になれるのかなぁ。
そしたら道明寺はあたしから離れていかない??


「他にも何点かチョイスしたから、一緒に着てみろよ。」
「えっ…」


あたしの答えを聞く前に道明寺が店員さんに指示を出していた。

道明寺が選んでくれた服は、あたしにピッタリで、履き心地のいいデニムのスキニーパンツもジャストサイズ。


最後に試着たのは、あたしが見ていたワンピース。
ワンピースを着たあたしを店員さんが見て、「ちょっとだけいいですか」と髪をアレンジしてくれた。
いつもは下ろしている肩下のストレートの髪を無造作に纏めてくれ、ふわふわのお団子を作ってくれた。

「これなら雰囲気が柔らかくなってお似合いですよ。」
鏡に映るあたしは自分じゃないみたい…。


試着室のカーテンを開けると、道明寺がじっとあたしを見ていていたたまれない。


「ほら、やっぱり似合わないでしょ。だか…」
「すげー、可愛いじゃん。このまま着ていくからこれに合う靴出してやって。」

「えっ、ちょっと…。」
「いいから…って。」


店員さんは、さっと靴を出してくれてあたしの着ていた服と靴を丁寧に包んでくれた。


次のお店では、さっきより少し甘めの服をチョイスしてくれて…結局、沢山買ってもらっちゃった。


「ねぇ、あたしもお金出すよ。沢山買ってもらっちゃって申し訳ないもん。」
「男に恥かかせんなよ。これぐらい俺には痛くも痒くもねーよ。」
「……ありがとう。」


「今日は泊まっていくよな?」
「………うん。」


お礼って訳じゃないけど、いつもは気が引けちゃって泊まっていけない道明寺邸に泊まって行く事にした。
その日は、道明寺がいつもより激しくて明け方まで眠らせてもらえなかった。




いつも応援ありがとうございます!


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昨日お伝えするのを忘れてましたが、全9話です(´∀`*)

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プロフィール

くるみぼたん

Author:くるみぼたん
花男の二次小説にハマり、思い浮かんだ妄想を書いてみることにしました。
ホンワカと温まるハッピーエンドのお話をお届けできれば…と思ってます^ ^

大したお話は置いてありませんが、
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