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Bitter sweet 3





いつだったか授業をサボって学校の周りを目的も無くウロウロと歩いていた。


その途中で見つけた喫茶店。
最近はチャラチャラしたカフェばかりがある中、ドッシリとした店構えが気に入り中に入ってみた。


マスターとその奥さんの二人でやっている店。客層の年齢も少し高めだが落ち着いた雰囲気が悪くない。


「いらっしゃいませ。」


店の奥の目立たない席についた。

奥さんが、テーブルに水を置き注文を聞いてきた。


「ブルーマウンテン」
「えっと、ちょっと待ってね。」


店の奥のに戻って行った奥さんは、マスターと何やら話して戻ってきた。

「今から豆を煎るので15分ほど時間がかかるけどいいかしら?」
「はい。」


少しすると、奥から豆を煎っているいい香りが漂ってきた。


一つずつ丁寧なのはいいが、店として成り立つのか?と思い今更ながらメニューを見ると、コーヒーはオリジナルブレンドしか置いてないらしい。

後は、紅茶やジュース、そしてサンドイッチ数種類とケーキ。

コーヒーは、一杯600円で大丈夫なんかと思ってしまう。


手持ちの本を読んでいたら、「お待たせしました」とコーヒーが目の前のテーブルに置かれた。


煎りたてのいい香りのするカップに口をつけ一口飲んだ。


すげー美味い。

いい豆を使ってんのもあるんだろうけど、豆にあった煎り方と淹れ方をしているんだろう。

メープルでもこれだけの味は出せねぇんじゃねーかと思うほど。


本を読みながら、コーヒーを堪能した。


会計で『1,000円』だと言われ、そんなんでいいのかと思ったら、『いいのよ。また来てね。』と押し切られてしまったので1,000円を支払って店を出た。


それから、週に2〜3度店を訪れるようになった。
2度目に訪れた時には、何も言わなくてもブルーマウンテンが出されるようになった。





**


俺が店に通い始めて3か月ほど経った頃、店に入るといつもより温かい空気が漂っていた。


「いらっしゃいませ〜!」


笑顔で迎えてくれたのは、中学生か…と思えるほど幼い雰囲気の女。


チッ、ここにはもう来れなくなるか…。
落ち着いた雰囲気が気に入ってたのにな。

そう思いつつ席に着くと、少しして女がコーヒーを持って来た。


「お待たせしました。ブルマンです。」


そう言って、見ている方が心配になるぐらいカタカタをカップを震わせながらテーブルにコーヒーを置き、良かった…とほっとした顔がめちゃくちゃ可愛くて笑いが込み上げてきて鼻で笑ってしまった。



悪くねぇな。

なんでそんな風に思ったのかわからねーが、
今思えば、女にも他人にも興味を持たない俺が興味を持った初めての瞬間だったのかもしれない。




新学期が始まり、朝からキャーキャーと騒がれ鬱陶しい。

学校なんて行かなくても、子供の頃から英才教育を受けてるから問題ないんだけどな。
あいつらとつるむ為に来てるようなもんか。


帰ろうと思った時に、理事長とすれ違い、寄附金がどうたらとか散々話をされ、ご両親に宜しくお伝え下さいと言われた。

よろしくって言われても、親に会うのなんか1年のうちに数回あるかないか。
どうせ俺の悪行をもみ消す為に払ってんだろ。



ムシャクシャするな。
あいつらも帰ってしまったしどうすっか。 


車に乗らずに歩いていると、いつの間にかいつもの喫茶店の前まで来ていた。


寄っていくか。


カランと店のドアを開けると、いつものように「いらっしゃいませ〜」と笑顔で迎えられた。

彼女の笑顔でムシャクシャしてた気持ちがスーッと引いていった。


コーヒーが運ばれてきた時には、腹まで減ってきて、


「なんか食うもんある?」


と彼女に話しかけていた。


「あっ、はいっ!オススメはカツサンドです。それから、ミックスサンドもチキンとアボカドサンドも人気で…あっ、タマゴサンドもありますっ!」


朝からなにも食ってないと言う俺に彼女は一気に説明をした。


フッ、面白れぇ。


「じゃ、カツサンド。」
「はい、かしこましましたっ!」


注文しただけとも言うが、彼女と話しただけで、体の奥底が温かくなった気がした。





それからしばらくして、いつもの様に学校帰りに喫茶店に寄った。

席に座ると少ししてから彼女がコーヒーを持ってきた。

初めて会った日を思い出させるように、カップをカタカタと震わせながらテーブルに置き、さっとその場を離れた。


なんかあったか?


カップを手に取りコーヒーを一口飲むと、いつもの味とは違った。
顔を上げると、彼女はこちらをジーっと見ていて、俺が声を発すると慌てて席に寄ってきた。


「ダメでしたか?」


不安そうに聞いてくるってことは…


「今日のは、おまえが淹れたのか?」
「……はい。昨日からコーヒーを淹れさせてもらえるようになりました。ブルマンは初めて淹れたので、お気に召さなかったら淹れなおします。」


気に入らないんじゃねぇ。
上手く表現できねーが、心が温かくなる様なまるい味。


「いや、悪くない…。今度も頼む。」
「はいっ!ありがとうございます!!」


素直に美味いって言えない俺だったが、彼女の笑顔を見れて、これからこの味のコーヒーが飲めるかと思うと、心の中で小さくガッツポーズをした。





いつも応援ありがとうございます♪

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二人とも同じタイミングに一目惚れでした(*≧∀≦*)


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プロフィール

くるみぼたん

Author:くるみぼたん
花男の二次小説にハマり、思い浮かんだ妄想を書いてみることにしました。
ホンワカと温まるハッピーエンドのお話をお届けできれば…と思ってます^ ^

大したお話は置いてありませんが、
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