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アットホーム・ビースト〜専業主夫司奮闘記〜 前編






「つくし、さっきの冗談だよな?」
「ん?冗談じゃない…かな。あたしさ、明日から楓さんの出張に1週間同行するんだよね。」


はぁ?
出張だなんて聞いてないぞ!!!


「休んでも司の仕事は問題ないそうだから、その間お願いね。」
「あ、ああ。」


上目遣いでお願いされて反論出来なかった。


「それから……ん。」


何かを頂戴と言わんばかりに俺に手を出してきた。


もしかして、1週間会えないから寂しいのか?
可愛いヤツ…。


そっと手を添え握りしめた。


「そうじゃないってば。司の財布とかカード!金庫にしまっておくからさ。」
「マジなのか?」
「うん、マジ。」


冗談を言ってる感じではなく、ここで逆らったらどうなるかわかんねぇから、素直にカードの入った財布をつくしに渡した。

つくしは、俺の財布を大事そうに金庫にしまい鍵を閉めた。


「これ、1週間の生活費ね。」


と俺に渡してきたのは『1万円』とスーパーやドラックストアのポイントカード。


1万円ってマジかよ?
これだけで1週間も暮らせる訳ないだろ!!


「お米やパン、卵とかハム、それから調味料は無くなったらタマさんが持ってきてくれるから心配しなくていいからね。」


いや、問題はそこじゃねー。


「洗濯機とか掃除機の使い方はわかる…よね?」
「たぶん。それぐらい説明書みたらわかるだろ。」


この時に素直に聞いてればよかった…と後悔するのはつくしが出張に出掛けてからのことだった。



「ズルしないで、ちゃんと約束守ってよね。」
「ああ、わかってる…。」
「咲希、パパをちゃんと見張っててよね。」
「ママ、任せて!」


大雅(たいが・3歳)は基本的に当てになんねーし、咲希(さき・8歳)はいつもつくしの味方なんだよな。


その日の夜は、明日が早いと言うつくしを捕まえて1週間分堪能した。


「行ってくるね。」


俺の頬にキスをし、外が明るくなる前につくしは出掛けて行った。







**

「パパァ〜!おしっこ。」


ベッドがドスンと跳ねた。


「はぁ?1人で行けるだろ?」
「トイレこあいの〜!!!」
「…わかった。ほら行くぞ。」


ベッドルームのトイレに連れて行こうとするも、ここじゃ嫌だと突っぱね、自分の部屋のトイレに連れて行かれ、なんちゃらマンの補助便座を乗せて、音楽を流しながらご機嫌で用を足している。

俺は側で見ているだけ…。
なぁ、これ1人で行けるだろ。


キチンと自分で手を洗った大雅に話をすることにした。


「大雅、男だったら1人でトイレに行けるだろ?」
「でも…こあい……」


目尻に涙を溜めながら、プルプルと首を横に振っている。


「春から幼稚舎行くんだろ?トイレぐらい1人で行かなきゃカッコ悪いぞ。それに、大雅が1人でトイレに行けたらママが喜ぶぞ。」
「ママ、うれちい?」
「ああ、嬉しいぞ。」


にっこりと笑って、大雅は頑張るって宣言をした。


「おなかすいた。」


今何時だ?
まだ夜が開けきっておらず、時計を見ると6時半を指していた。


「まだ早いだろ。咲希が起きてからな。」
「おにぎりとたまごとハムとおやしゃいね。」


大雅は朝はいつもご飯だ。
咲希はどうすんだ?


冷蔵庫から卵とハム、野菜なんかを取り出した。


メシは…
引き出しやパントリーをあちこち探して、ようやく米を見つけた。

見つけたはいいがどうやって炊くんだ??




Rurururu〜♪

「はい。どうかされました。」
「米を炊くのはどうすんだ?」
「咲希様は…?」
「まだ寝てるんだよ。」


はぁ〜っとわざとらしくため息をついてから説明しだした。  


『お米のカップにちょうど一杯が一合です。必要な分だけを計ってから水で洗います。何度か洗ったら、炊飯器のお釜に洗ったお米を入れ合数の目盛りまで水を入れ、炊飯器にセットして炊飯ボタンを押します。』


「わかった、サンキュ。」
「それから…」
「まだ何かあるのか?」
「何でも私に聞かずに、先ずは説明書を読むなり、ネットで調べるなり咲希様に聞くなりしてみて下さい。」
「……わかったよ。」


米を3合分計り、水で洗う。
水を捨てる時に一緒に米も流れていってしまう。


「パパ、ザルとか置かないとお米なくなっちゃうよ。」


寝起きの咲希が呆れたような口調で腰に手を当てながら俺の横に立っている。


「おお、そうか。」


ザルを探していると…

「パパ、お米は早く洗わなくっちゃ不味くなっちゃうよ。」
「そうなんか。」


ホント、パパって仕事以外は何にも出来ないんだね…とため息をついた。


おい、お前までため息をつくんじゃねーよ!
なんとか炊飯器にセットして炊飯のボタンを押した。



「あ、パパ〜、体操着明日要るから洗濯忘れないでね。」
「洗濯……わかった。咲希取り扱い説明書ってどこにあるんだ?」
「リビングのチェストの引き出しの1番下。ね、パパ使い方教えて欲しい??」
「ああ。」
「咲希、Love❤︎Girlのリュックが欲しいんだよね〜…ママは今使ってるのがあるからダメって言うんだ。」
「・・・わかった。買ってやる。」


『電源を入れて、服を中に入れて、洗剤は自動で出てくるからスタートを押すだけだよ。あ、セーターとかママのブラとかは入れたらダメだよ。レースとか使ってるものはここのネットに入れてね。それからね〜、大雅のズボンのポケットには色んなもの入ってるから気をつけてね。』


それだけ知ってるんだったら自分で洗濯しろよ…とも言えずに、咲希に教えてもらった通りに…うおっ!何だこれ!!大雅のズボンのポケットからは大量のドングリ。


「パパ〜、おなかすいた。あ、それぼくのどんぐり。。」
「大事なんだったらポケットに入れっぱなしにすんな。」
「うん。でも、それママがむしさんいないようにしないとダメって…。」
「はあ?とりあえずどこかに置いておけ。」
「はぁーい!」


急いで、洗濯機を動かして朝食の準備に取り掛かった。
ハムと、きゅうりとトマトは切るだけでいいか。
卵は…。


「大雅、卵は何がいいんだ。」
「トロトロの目玉焼き。」
「私は、スクランブルエッグがいい。」
「どっちか一つにしろ。」
「「えーっ!!!」」


結局ジャンケンをして咲希の希望のスクランブルエッグになった。

混ぜて焼くだけでいいんだよな。
フライパンを火にかけて、割って混ぜた卵を流し入れた。


「うおっ、なんでこんなにくっつくんだ!!」


出来上がった物はポロポロっつーか、ボロボロのそぼろみたいなもの。
切った野菜やハムと一緒に皿に盛り付けて、炊けたご飯で大雅のおにぎりを握って出した。

咲希は自分でパンを焼いて食べるらしい。


「いただきまーす!」


・・・・・


「パパ、おにぎりもたまごもあじない…。」


そんな訳ねえだろ…
大雅のを少し摘んで口に入れると、味がねぇ。


「パパ、お塩入れてないでしょ。」
「そんなん必要なんか。」
「もう〜!」


咲希はケチャップや塩、海苔なんかを持ってきて大雅の分に味付けしてやっている。


「それに、何これ??」
「ブロッコリーだろ。」
「それは分かってるよ。これ茹でた?」
「いや。茹でるんか?」
「もう〜!!パパは何も出来ないんだから…。」


ブロッコリーを別の皿に入れラップをしてレンジにかけ、それぞれの皿に戻した。


「咲希すげーな。」
「いつもママのお手伝いしてるもん。パパが知らなさすぎなんでしょ!!それに勝手に島なんか買っちゃうからこんな事になったんだよ…。」
「でもあれはな…。」


今更いい訳しても仕方ないか…。


「いやいい。悪かったな。」



つくしのいない1週間が始まったばかりだが、
前途多難…でしかねぇな。






いつも応援ありがとうございます♪


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コメント

コメント(3)
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2019/12/23 00:08 編集返信
くるみぼたん
つく〇〇〇様
ふふっ、うちの司くんにはガッツリ主夫業させちゃいますよ(≧∀≦)

まだまだ序の口ですよ、
司くんに頑張ってもらいましょう( ̄∀ ̄)

くるみぼたん

2019/12/23 08:01 URL 編集返信
くるみぼたん
拍手コメント mi〇〇様
ふふっ、娘は強し…です(^-^)v
つくしちゃんの代わりに、ちゃんと司くんをコントロールしてくれますよ(≧∀≦)

くるみぼたん

2019/12/25 18:51 URL 編集返信
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Author:くるみぼたん
花男の二次小説にハマり、思い浮かんだ妄想を書いてみることにしました。
ホンワカと温まるハッピーエンドのお話をお届けできれば…と思ってます^ ^

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