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高嶺の花 後編






昼休み、多分ここだろうと非常階段に行くと、牧野は真剣な様子でスマホを弄っていた。

背後からそっと覗いてみるとネットで何かを購入しようとしているみたいだ。


「何やってんだ?」
「あ、道明寺さん。ね、これ可愛くないですか??」


そう言って俺に見せてきた画面には変なキャラクターの描かれたTシャツ。名入れなどのカスタマイズが出来るらしい。


「いや、微妙…。」
「えー、お屋敷で働いている人達にもうすぐバレンタインだし、お世話になってるお礼に配ろうかと思ってたのに…。」


マジで言ってんのか?
こんなのもらっても困るだけだろ??


「バレンタインだったら、チョコとか配ってたらいいだろ?」
「でも、チョコだと普通かな…って思っちゃって。だったら、あたしの好きなものを贈ったら喜んでくれると思ったんだけどなぁ〜。」


前にセレクトショップでも思ったが、金の使い方のセンスが全くねぇ。


「プレゼントってのはな、相手のことを思って選ぶんだよ。自分の好きなものを贈るのは押し付けでしかねぇ。」
「でも…いっつも喜んでくれるんだよ。」

「じゃあ、その後それを使ってんの見たことあるか?」
「・・・・・」
「ほらみろ。」


一気にシュン…と元気をなくしてしまった牧野。
か、可愛いじゃねーかよ。


「買い物行くの付き合ってやっから元気出せよ。」
「ホントに??」


さっきの沈んだ表情から一転、パァっと笑顔になった。


「ああ。来週あたり都合の良い日、連絡しろよ。」


俺にとっては思ってもみない幸運で、牧野の携帯番号とLINEのアカウントをゲットすることが出来た。





牧野のバレンタインの買い物に付き合ってやり、贈る相手のことを聞き出しながら選んだプレゼントは相当好評だったらしく、お礼がしたいと言われた。


「だったら、弁当作ってきてくれるか?」


彼女はよく自分て作った弁当を持ってきていて、それが美味そうだと噂されてっからな。


「うっ…うん。わかった。」


少し困った表情をしていたが、浮かれていた俺はそれに気づかなかった。






数日後、『明日お弁当持っていくね』とLINEが入り、『楽しみにしてる』と返した。


牧野の弁当を食べたやつって誰もいないだろ?
周りに自慢したい気持ちを抑えて、昼の時間を待った。


『非常階段で待ってる』

昼休みに入った途端、LINEのメッセージが入った。
カフェテリアでもいいのによ。

そんな風に思いながら、非常階段に行くと牧野が待っていた。


「はい、これ…。」


弁当を差し出した手には、沢山のバンドエイドが巻かれていた。


「指どうしたんだ?」
「ちょっと…ね。あたしのことはいいから食べて。」
「ああ、サンキュ。」


弁当を開くと、想像してたよりも見た目がイマイチ。


「いただきます。」


少し焦げた卵焼きを食べると、砂糖の塊かってぐらい甘い。ブロッコリーは、茹ですぎてふにゃふにゃだし、生姜焼きは焼き過ぎて肉が硬くなっている。まともなのはミニトマトぐらいか…。


「どう??」
「イマイチ……だな。」
「やっぱりそうだよね…。」


お世辞でも美味いとは言えない出来で、さすがに俺も嘘をつくことは出来なかった。


「なぁ、聞いてもいいか?」
「は、はい…。」
「いつも持ってきてる弁当って…。」
「うちのシェフが作ってます。」

「みんなに嘘ついてたのか?」
「嘘って言うか、初めにあたしが作ったって決めつけられちゃって、否定が出来なくて…。」
「クッ、学園一の才女の本当の姿がこんなのだったとはな。」


俺の言葉を聞いた牧野は目にいっぱい涙を溜めていて、今にも溢れ落ちそうだ。


「悪りぃ。泣かすつもりは無かったんだ。猫被ってる姿よりも俺には魅力的だぞ。絶対に皆んなには言わねーから…な。」


こんな可愛い姿を知ってるのは俺だけでいいだろ…。
下手でもちゃんと自分で作った弁当を持ってきてくれたことも嬉しかったんだぜ。


「ホントに??」
「嘘は言わねーよ。」


目尻からポロリと溢れ落ちた涙を親指でぬぐってやりながら答えた。


「ありがと。」


泣き笑いの表情を浮かべながら俺を見上げた牧野は超絶可愛くて、もう少しで後先考えずにキスをしそうになった。


「料理なら俺が教えてやろうか?」
「えっ、道明寺さんって料理も出来るの??」
「料理ぐらいは出来るぞ。」
「すごい!!ぜひお願いしますっ!!」


暇に任せて、趣味のように料理をしていたのが役に立つとはな。
俺んちで牧野に料理を教えることになった。






牧野が俺の家に来る日…朝から落ち着きがなく部屋の中をウロウロしながら約束の時間を待っていた。

牧野の家の車が到着し、エントランスで出迎えて、彼女と一緒に俺の部屋に入った。


「わっ、素敵なお部屋!すごいね〜、自分の部屋にキッチンが付いてるなんて…。」


俺のテリトリーの中でふわりと香る彼女のほのかに甘い匂い。
エプロン姿の牧野は可愛くって、今日は絶対に牧野に告白するって決めた。

告白の前に、約束通り料理を作らないとな。
あらかじめリクエストを聞いていた、卵焼き、コロッケ、茹で野菜を一緒に作ることに…。


「ほら、火が強過ぎ。だから焦げるんだよ。中火ぐらいで焦らずに焼けよ。」
「うん…。」


コツを教えながら、卵を焼いて、野菜を茹でた。
コロッケもじゃがいもを茹でるところから始め、後は揚げるだけ。


「なぁ、牧野。」
「ん、なんですか?」

「俺さぁ、牧野のことが…「キャァー!!!」


「おいっ、大丈夫か???」





「牧野!!牧野っ!!!」




























「司??司ってばぁ…!」

俺のことを名前で呼ぶなんて積極的だな…。
実は俺のこと好きなんじゃねーの。

そうじゃ無くて…油が跳ねて火が…


「牧野っ!大丈夫かっ???」


ガバッと身を起こすと、目の前にはエプロンはしているものの高校生…とは思えない雰囲気の牧野。


「もしかして夢見てたの?」
「・・・みたいだな…。」
「牧野って叫んでたけど…司に牧野って呼ばれるの久しぶりだったね。どんな夢見てたの?」
「ああ、俺んちで卵焼きと・・・そう、コロッケ揚げてたんだ。」


俺の話を聞いて変なの〜ってクスクスと笑ってるつくし。




「今日の夕飯は司の好きなコロッケだよ。」

早く来ないと冷めちゃうよ〜って言いながらキッチンに戻って行った。





夢の中の、お嬢様で高嶺の花だった牧野は、あれはあれで可愛かったけど色々と危なっかし過ぎだろ。




キッチンに行き、お皿に料理を盛り付けているつくしを背後から抱きしめた。


「どうしたの?」
「なんでもね…。」
「ふふっ、変なの。」


やっぱり俺には、庶民で生まれ育った今のつくしの方がいいな。





END





いつも応援ありがとうございます♪



リクエスト内容は、『夢落ち』のお話でした。
つくしちゃんがお嬢様で、外では猫を被っていて、実際のつくしちゃんはお金の使い方や料理が下手だったりして、それを司くんか教えていってあげる…と言うものでした(≧∀≦)

スリー〇〇〇〇〇様、素敵なリクエストありがとうございましたm(_ _)m

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コメント

コメント(2)
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2020/01/24 13:25 編集返信
くるみぼたん
スリー〇〇〇〇〇様
返信遅くなりましたm(_ _)m

確かに、原作での司くんは料理ができるイメージありませんよね(*^▽^*)
でも、きっと器用なんで上手くなるのも早そうです(*´-`)

いつもと違った感じの司くんとつくしちゃん…
書いててとっても楽しかったです(≧∀≦)

リクエストありがとうございました♡

くるみぼたん

2020/01/29 23:39 URL 編集返信
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プロフィール

くるみぼたん

Author:くるみぼたん
花男の二次小説にハマり、思い浮かんだ妄想を書いてみることにしました。
ホンワカと温まるハッピーエンドのお話をお届けできれば…と思ってます^ ^

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