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明日が来ること… 4






「まーきの。」
「類、どうしたの?」

「なんとなく牧野が泣いてるんじゃないかと思ってさ。」


病院からゆっくりと歩いてマンションに帰ってくると、エントランスに類がいた。



「泣いてないよ。」
「そっか、それなら良かった。これ、忘れ物。」


あたしの手のひらにポンと置いたのは、道明寺のはめていた指輪。


「え、なんで?」
「司の病室にいた、変な女から奪い取って来た。」
「そっか、ありがと。」
「じゃあ、帰るね。」
「うん。気をつけてね。」


いつもならお茶でもして帰るのに、道明寺があんなんだから気を使ってくれたんだね。



大丈夫……
まだ頑張れる。



道明寺が退院するまでは、あたしも休暇を貰っていた。

マンションの部屋に入るとガランとしている。
つい数日前までは、道明寺と笑いあって暮らしていたのに…。



弱気になっちゃダメ。



冷蔵庫やパントリーから必要な物を取り出してクッキーを作りはじめる。

左手は骨折じゃなくてヒビが入ってただけで、固定していたギプスももうすぐ外せるみたい。
いつもより時間がかかったけど、上手く出来た。


明日、道明寺の所に持って行こうっと。





翌日、道明寺の病室に行くと不在で、看護師さんに聞いてみるとリハビリに行っているそう。


今のうちにあたしも診察受けて来ようかな。
サイドテーブルにクッキーの入った箱を置いて、診察を受けに行った。


病室に戻ってきてドアを開けると、部屋の中には道明寺と昨日の女の子。


「なぁ、これおまえが作ったのか?」
「えっ、そうそう。」
「見た目はアレだけど上手いな。」
「そう?良かった。」


違うよ。それを作ったのはあたしだよ。


どうして…。
何も言えずにいると…


「おまえ、また来たのか?」
「そんな所に立ってないで、こっちに来たらいいのにねぇ、司くん。」


もう悔しいのと情けないのとで、ずっと堪えて来た涙があふれてきた。


「……帰る。」
「ちょっ……」


道明寺の言葉の続きを聞く事なく、部屋を出て行った。






**

「変なの。」


さっきの女の涙が頭から離れねぇ。
なんでかわからないんだが、胸の奥がザワザワする。


「ねぇ、司くん、明日退院なんでしょ?海風も一緒におうちに行っていい?」
「ああ。」


俺が助けたとはいえ、あの女が泣く必要なんてあるのか?


「司くん、海風と付き合ってくれる?」
「ああ。」


追いかけた方がいいのか?
なんで、あの女がそんなに気になるんだ?


「やった!海風ね、もうすぐ誕生日なんだ。誕生日プレゼントに欲しいものがあるんだけど…」


海風って女が目の前でひたすら色んなことを話してるんだが、全然頭に入ってこねぇ。適当に相槌を打っているのも疲れてきた。


「ねぇ、司くん、聞いてる?」
「ああ、悪りぃ。ちょっと頭痛いから帰ってくれるか?」
「もうっ、明日迎えに来るからね。」


ドアが閉まって、ふうっ〜っと大きく息を吐いた。


海風って女が側にいても嫌悪感はねぇ。
あのクッキー、いつだか覚えてないが以前に食ったことがある気がする。



頭の中を整理しようとするが、モヤがかかったようでハッキリとした答えが出て来なかった、








退院の日、もう一度牧野って女に会えるかと思ったが、俺の前にあの女は現れなかった。


「司くん、退院おめでとう。」
「ああ。」

「ね、司くんの家に一緒に行っていい?」
「はぁ?なんでだ?」

「だって、私彼女でしょ。昨日付き合ってくれるって言ったじゃない…。」
「そうだったか?」
「うんそうだよ。」



そんな姿や声ををドアの向こうから見ていたつくしがそっとその場を後にしたのには、司は気づくことはなかった。






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くるみぼたん

Author:くるみぼたん
花男の二次小説にハマり、思い浮かんだ妄想を書いてみることにしました。
ホンワカと温まるハッピーエンドのお話をお届けできれば…と思ってます^ ^

大したお話は置いてありませんが、
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