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明日が来ること… 20







「記憶をなくす前、牧野は俺の彼女だったんだよな?」
「…うん。」

「今の俺じゃ、側にいるのは嫌か?」
「えっ??あたし秘書は辞めませんよ?」


「そうじゃなくてよぉ…俺の彼女になってくれないか?」



「………いいよ。」



無理だとか、考えさせて欲しいとか言われると思っていたのに、少しだけ考えた後にOKの返事をくれた。


「いいのか?」
「えっ?断った方が良かったの?」


「そうじゃねーけどよ…。俺は牧野の事忘れてるしのに嫌じゃねーのかよ。」
「だってそれは道明寺は悪くないでしょ。それにもう逃げないって決めたから…。」


時々見せる意志の強そうな目をしながら、そう言った牧野。


「思い出せねーんだよ。」


「……そんなに焦らなくても大丈夫だよ。でも、思い出したいって思ってくれてるんだよね?」
「ああ。」
「それだけで充分だよ。」


そう言って微笑んだ彼女は、少しだけ寂しそうにも見えた。




「少し話してもいいか?」
「うん。」



牧野が居なくなってからの俺の心は空っぽだったこと、全てが上手くいかなくなったこと、探したけど見つからなかったこと。

そして今は牧野のことを気になっているが、それが彼女だったって聞いたからなのか好きだからかわからない…と。


「話してくれてありがとう。」
「こんな俺でもいいのか?」
「ふふっ、大丈夫だよ。」


記憶を失って、酷い仕打ちをした俺をすんなりと受け入れてくれる牧野はすげーヤツかもしれない。







**

道明寺に土星のネックレスを渡され、話があると言われた。


記憶が戻った訳でもなさそうだし…何かあったのかな?


パーティーが終わって、メープルのレストランの個室でご飯を食べて、デザートとコーヒーが出されてから道明寺が話し始めた。


「俺の彼女になってくれないか?」


そう言った道明寺は、今までになく自信が無さそうで守ってあげたいって思った。


それに…ね、もう逃げないって決めたから、どんな彼でも受け止めようと思ってたから、もう一度二人の関係を始めようとしてくれてる中に飛び込むことに迷いは無かった。


あたしのことが気になっているけど、好きかどうかわからないって…高校生の頃の正反対のシチュエーション。

「その分、あたしか道明寺のことを何倍も好きだから…」と言いたかったけど、流石に恥ずかしくて言葉を飲み込んだ。




「ねぇ、何でこのネックレス…。」


パーティーの前に道明寺が着けてくれた土星のネックレスをそっと触った。


「何でだろうな…。でも、それを見ているとお前の笑っている顔が浮かんでくるんだ。わかんねーんだけど、俺たちにとって大事なものなんじゃねーかって思うんだ。だから、持って欲しい。」
「……うん。」


あたしが道明寺邸でメイドをしていた時に、道明寺に夜中に呼び出されて、土星を見せてもらって好きだって言われてもらったネックレス。色んなプレゼントはもらったけど、このネックレスに勝るものは無いんだよね。





帰りのリムジン。
いつもより少し近づいた二人の座っている距離。

以前ならあたしにべったりとくっつくように座っていたのを思うと、付き合うようになったけどまだ心の距離は遠いんだろうな…って思う。


あたしの住んでいるマンションまで送ってくれた。


「ありがとう。」
「ああ。」

「じゃ、おやすみ。」
「・・・部屋まで送ってく。」

「え、大丈夫だって。」
「彼氏なんだから送らせろ。」


あたしの有無を言わせず一緒にリムジンから降りて付いてきた。


エントランスをキーをかざして開け、エレベーターに乗って3階に。
同じ階に部屋があるのを眉をひそめていたから、

「この階には誰も住んで無いから。」

って言ったら安心した様子だった。


そんな所は変わってなくてニンマリとしちゃった。


「ここがあたしの部屋。えっと、お茶でも飲んでいく?」
「いや、今日はやめとく。」

「そう?送ってくれてありがとう。おやすみなさい。」
「ああ、おやすみ。」


鍵を開けようとするあたしを抱き寄せて、ふわっと触れるだけのキスをして帰っていった。





ふう〜。

部屋に入ってヒールを脱いで、部屋に入ったところでペタンと座り込んだ。


あたしの服からふわりと漂う道明寺のコロンの残り香。
まだ、彼が近くにいるようで気が付いたら涙がこぼれ落ちた。




道明寺が記憶を失ってもうすぐ1年、ようやくスタートラインに戻って来れたのかな。




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くるみぼたん

Author:くるみぼたん
花男の二次小説にハマり、思い浮かんだ妄想を書いてみることにしました。
ホンワカと温まるハッピーエンドのお話をお届けできれば…と思ってます^ ^

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