「はぁ〜、緊張した〜。」
「その割に、美味そうに飯食ってたぞ。」
「だって、美味しかったんだもん…。」
食事を終えて、道明寺と一緒にお姉さんに買ってもらった荷物をのせてもらい車に乗った。
「それにしても…、あたしがこれ持っていても大丈夫なのかなぁ。」
道明寺のご両親から頂いた名刺。
だって、道明寺HDの会長と社長って書いてあるよ。
世界中知らないんじゃないかって言う会社の社長さんと会長さんの名刺をあたしが持ってるなんて恐れ多い。
「いいんじゃね。親父らも牧野だから渡したんだと思うからさ。」
「うん…。じゃあお守りにしておこうっと。」
「ククッ、お守りってなんだよ。」
「んー、だって御利益ありそうじゃない?」
「あははははっ!」
結構真剣なのにな…。
お腹を抱えて笑われてしまった。
あたしは頂いた名刺をあたしの手帳に大事にしまっておいた。
「これからどうすっか?」
「道明寺は行きたいところある?」
「いや、別に無いな。牧野は?」
「えーっとね、観覧車!観覧車乗りたいんだけど、いいかな?」
「…いいぞ。」
フッと笑って運転手さんに行き先を伝えてくれた。
ちゃんとね、道明寺に『好き』って伝えようと思ってる。
**
「わぁ、観覧車なんて久しぶり!」
「ガキみてーだな。」
緊張を隠すためにはしゃいでしまったあたしを見て笑われてしまった…。
「道明寺は?観覧車に乗った事あるよね?」
「・・・・・無いんじゃねーか。」
「そうなんだ〜。もしかして高いところ怖い?」
「んな訳ねーだろっ!」
5分ほど並んで、あたし達の番が来てゴンドラに乗り込んだ。
乗ってみたものの、気恥ずかしくて対面に座ってしまい、道明寺の顔が見れない。
「そっち移っていいか?」
「…うん。」
道明寺が立ち上がって、あたしの隣に座った。
「なんか話があったんじゃねーの?」
「えっ?なんで??」
「なんとなく…。車でも考え事してるみたいだったしさ。」
「あはは、ごめんね。気付かれてたんだね。」
「で……話って?」
女は度胸だ…!
ふうっ〜っと大きく息を吐き出してから話し始めた。
「あのね、あたしが道明寺の事を10分の1も好きになれないかもしれないって言った事なんだけどね……
英徳に入って、学校にいる周りの人達は自分と価値観が違って、付き合ってもあたしの本当の事を知るとバカにされたり捨てられたりするんじゃ無いかって思ってたから、自分を守るためそう言ってしまったの。」
「それで?」
「それに、みんなそれなりに釣り合った人と結婚するだろうから、先のない恋愛ってしたくなかったんだ…。」
あたしの話を聞いて道明寺は何かを考えている様子。
「だから、道明寺と付き合っていても、あんまりのめり込まないように少し距離を取ろうとしていたの。…ごめんね。」
「だったら、ずっと断り続けてたのに、なんで俺にはOKを出したんだよ?」
「だって・・・・・、一目惚れした相手だったから…。」
「いつだよ??」
「あの雨の日。道明寺がシロ達を連れて行く姿を見て…。」
「マジか…?」
「うん……。」
あたしが話をしている間、ずっと怪訝そうな顔をしていた道明寺がすごく嬉しそうな顔になって、ギュッと抱きしめられた。
「すげー嬉しい。」
「うん。」
“まもなく当ゴンドラは頂上に到達いたします。”
アナウンスが流れ、俺の腕の中で顔を上げた彼女。
今度こそ好きだって言ってくれるんだろうか…。
「牧野、好きだ。」
そういや、『ここの観覧車の頂上でキスをしたカップルは別れない』なんてジンクスがあったな。牧野は知ってるんだろうか?
牧野の返事を待ちきれずに唇を塞いだ。
その時初めて、彼女がそっと俺を抱きしめ返してくれて、キスを続けながらさらに強く抱きしめた。
「道明寺、好き……。」
唇を離すと、少し顔を赤らめながら初めて好きだと言ってくれた。
付き合って半年…
近づいては離れ、近づいては離れ、気持ちが掴めなかった牧野が俺の方を向いてくれた。
「もう一回言って…。」
「道明寺、好き。大好き。ずっと言えなくてごめんね。」
END

いつも応援ありがとうございます♪
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最後は、つくしちゃんの『好き』で終わらせたかったので、ここでおしまいです(о´∀`о)
あとがきは番外編の後に書きますね。
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