FC2ブログ

紫陽花の季節 〜Promise

梅雨入りし、紫陽花の花も咲き揃ってきた頃、つくしは産休に入った。

臨月に入る為、お腹も随分大きくなり、何をするのも大変そうだ。


「つくし、少し庭に出て散歩でもしないか?」

「いいの?」


雨が続き、引き篭もり気味だったつくし。
気分転換になればいいと思った。


「いいぞ。ずーっと家に居ても退屈だろ。」

「ありがとう、司。」


身体を冷やさないように準備をして、庭に出る。


「わあ、緑が綺麗だね。雨が沢山降って紫陽花も嬉しそう。」


身重なのに走り出しそうなつくしと手を繋ぎ、ゆっくりと散歩する。


「ねぇ、子供の頃も雨の日によくお庭で遊んだよね。」

「喜んでたのはお前だけだろ?」



✳︎✳︎✳︎



学校が、終わって邸に帰ると、つくしがカッパと長靴姿で玄関ホールをウロウロしている。


「あっ、司、おかえり〜。」

「おまえ、また庭で遊ぶのか?」

「うんっ。司も一緒に行こうよ〜。」

「ヤダね。俺は忙しいんだよっ。」

「そっか〜。じゃあ1人で行ってくる。」


一瞬寂しそうな顔をしたものの、走って行ってしまった。


俺の部屋に入り窓から外を見ると、つくしは傘を差し、クルクル回っている。
あいつもう5年だろ?
あんな遊びをしてて楽しいのか?



しばらくすると、紫陽花の前でしゃがみ込み動かなくなった。
何してるんだ?
居ても立っても居られなくなって、傘もささずにつくしの所へ走って行く。


「つくし・・・おい、つくしっ!」


俺の声に一瞬、身体をビクッとさせ、目をゴシゴシ擦ってからこっちを向く。


「あれ〜、司?傘もささずにどうしたの?」

「おまえ、何で泣いてるんだよ!」

「泣いてないよ。雨に濡れただけ。」


頑として話そうとしない、つくしに根気よく問い詰めると、どうやら学校でからかわれたんだと。
公立の小学校に行ってるつくしだが、このエリアは高級住宅地の為、公立でも割と裕福な家庭が多い。
住み込みで、邸に住んでる使用人の娘だから貧乏人だとからかわれたらしい。
道明寺に勤めてる奴が貧乏人なわけないだろーが。


ムカついたので、後日、午後から学校をふけてつくしを迎えに行く事にした。
校門でつくしを見つけると、寄って行き手をしっかり繋いで、周りをぐるっとひと睨みしてから帰った。
流石に、公立でもこのへんの奴は道明寺の事を知っているだろう。
迎えに行くこと数回、つくしはもう大丈夫だから…迎えに来なくていいよって笑っていた。



あの時だよな、つくしを英徳に入れて近くで守りたい…って思ったのは。



✳︎✳︎✳︎



子供の頃の話を2人でしながらゆっくり歩く。


「いっつも司は、ひたすら隠してる気持ちに気がついてくれるんだよね。。」

「気付かないわけないだろ。ずーっとお前だけを見てるんだから。」

「でもさ、小学校の高学年に入ってからは冷たかったじゃん。」

「ああ、あれな。カッコつけてただけだよ。」

「へっ?」

「女とベタベタしてるって思われるのが嫌だったんだよっ。」

「ふふふっ、私たちが一緒なのお邸だけだったのに…。」

「もういいだろ、昔の事は。」


✳︎✳︎


その夜。


「つかさ・・・つかさっ。」


夜中につくしに起こされる。


「ん・・・どうした?」

「なんかね、お腹が痛い。陣痛が来たかも。。」

「マジか?とりあえずタマ呼んでくる。」


タマを起こし、病院に行けるように車の手配をする。


「つくし、大丈夫かい?病院には連絡は?」

「あっ、まだ…。」


病院に連絡し、陣痛の間隔が15分になったら病院に来るようにと。
今のうちにシャワーを浴びておくようにと。


時折、痛そうに顔をしかめるつくしはとっても辛そうだ。
タマに言わせりゃ、序の口なんだそうだ。


明け方、陣痛の間隔が15分になったので、病院に連絡を入れて病院に向かう。
特別室に通され、出産の時を待つ。
どんどん痛そうになってくる陣痛だが、俺がしてやれるのは、背中や腰をさすってやるぐらい。


陣痛が5分間隔になると、バタバタと看護師達が出産の準備を始める。
特別室はLDRに対応していて、そのまま子供を産めるらしい。


「ご主人、奥様の側で手を握ってて差し上げて下さい!」


部屋の中でどうしたらいいかわからずにいた俺はそれを聞いてつくしの枕元に行く。


「つくし、大丈夫か?」

「つかさ・・・。」


手を握り、額に浮かぶ汗を拭いていく。
どんどん陣痛の間隔が短くなってきたところで、


「つくしさん、頭が見えて来ましたよ。もう少し頑張りましょう。」



それから、どれぐらい経ったのか覚えてねぇが、つくしが今までで1番力を入れた後、少しして、


「おぎゃあー、おぎゃあー。」


と、泣く声が聞こえた。


「おめでとうございます。元気な女の子ですよ!」



「司、つかさっ?」

「ああ。」

「抱っこしてあげて。」

「おうっ。」


看護師から産まれたばかりの赤ん坊を受け取る。
めっちゃ小せぇな。
びっくりするぐらい軽いんだけど、こいつに対する責任の重さを感じる。


「つくし、ありがとうな。お疲れさん。」


そっと、赤ん坊をつくしの横に寝かせる。


「可愛いね。」

「ああ。」

「小ちゃいのに、髪の毛クルクルだね。」


産後の処理があるからと、俺は外に出される。
廊下には、つくしの両親とタマ。


「赤ちゃんは。」

「元気な女の子です。」

「そうかぁ。よかった〜。」


つくしの両親は、ほっと胸を撫で下ろした。


処置が終わったからと、俺たちは再び入室許可が出たので、みんなで中に入る。
つくしは両親とタマに赤ん坊を抱っこしてもらっている。
少しして、ゆっくり休んでね…とつくしの両親とタマは帰った。


「つくし、疲れただろ。」

「うん…でも嬉しさが勝つかな。」

「俺たちも親になったんだな。」

「うん。名前決めてあげないとね。」



「紫(ゆかり)はどうだ。」



「道明寺 紫…綺麗な名前だね。パパから、初めてのプレゼントだね。」



「紫、パパとママだよ。これからよろしくね。」

つくしが紫の手のひらをそっと指で触れるときゅーっと握りしめる。
俺も、反対の手のひらを指で触れると握りしめてくれた。

「2人で守っていかなきゃね。頑張ろうね、司。」

「そうだな。よろしくな、つくし。」



俺の大切な宝物がまた一つ増えた。


END




いつも応援ありがとうございます。


---------------
Promise の2人の出産編でした。
関連記事

コメント

コメント(6)
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます

-

2018/06/27 11:13 編集返信
くるみぼたん
ありがとうございます♡
スリ○○○○様
Promise のお話は、こんな感じでエピソードを少しずつ進めていければな…と思ってます。
子供の髪型…悩みどころですね。
ホントは、司くんのコピーのような男の子にしようと思ってたんです^ ^
大人の事情(しっくりくる名前がなかったともいう)で、女の子になりました(笑)
この際だから、次の子はストレートの髪をした司くん似の男の子にしようかな(*≧∀≦*)
紫ちゃん…そこまで深読みしてくれたんですねヽ(*´∀`)
コメ見て初めてホントだって思いました!!
単純に、紫陽花からの紫デス。

ドラマ…ラストを楽しみにしてたのに、ホント不完全燃焼です。
原作だと、この時点では2人はくっついて無いから、ドラマ版のオリジナルラストですよね。原作で、天馬くんが怪我してなかったら対決終わって音は晴の所に行ってたのかな…なんて思います。
可愛い後輩シリーズで、どうやって司くんと晴を合わせるか考え中です。

くるみぼたん

2018/06/27 16:32 URL 編集返信
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます

-

2018/06/27 19:42 編集返信
くるみぼたん
ありがとうございます②
悠○様
大好きと言ってもらえて嬉しいです!
リクの方は、だいぶイメージが纏まってきたので、もう少しお待ちを…(๑>◡<๑)

くるみぼたん

2018/06/28 07:44 URL 編集返信
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます

-

2018/06/28 07:54 編集返信
くるみぼたん
ありがとうございます③
澪○○○様
コメントありがとうございます♡
紫ちゃんは、2人の愛情をたっぷり受けていい子に育ってくれるかな。
このシリーズも、ちょっとずつ更新していくつもりですので、また覗いてみてくださいね!

くるみぼたん

2018/06/28 09:05 URL 編集返信
コメント投稿
非公開コメント

訪問ありがとうございます!

プロフィール

くるみぼたん

Author:くるみぼたん
花男の二次小説にハマり、思い浮かんだ妄想を書いてみることにしました。
ホンワカと温まるハッピーエンドのお話をお届けできれば…と思ってます^ ^

大したお話は置いてありませんが、
ブログ内のお話等の無断転載、無断掲載は固くお断りしています。

カテゴリ